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2020年2月27日更新 3222

ニンフの仕掛けが威力を発揮!早春のフライフィッシング

早春、解禁直後の渓流でのフライフィッシングは、約半年ぶりにワクワクしながら出かけて行っても渋い釣りを強いられることが多々。フライマンの性か、厳しいコンディションでもまずはドライフライを結んでしまうものです。久しぶりのフライキャスティングを楽しんだ後は、ニンフでボトムを狙ってみましょう。残雪があっても、水中ではトラウトがしっかり餌を追っています。今回は、低水温期のトラウトの生態にぴったりマッチしたニンフの仕掛けと釣り方をご紹介します。

OutSeekers編集部

OutSeekers編集部

ニンフとは?フライフィッシングと水生昆虫の関係

水中のメイフライのニンフ

「ニンフ」とは、主にカゲロウやトビケラなどの水生昆虫の幼虫を差す言葉です。彼らは一生のほとんどを河川や湖沼の水中で過ごし、多くの種類が産卵もまた水の中に行います。ハッチ(羽化)は一斉に起き、河川の上空で交尾相手を探します。散発的に起きることもあれば、数時間に渡って大量のハッチが続くことも。それは気温、水温、気圧など様々な条件が複雑に影響しているためです。地域や種類によって差はあるものの、通常春から冬まで年中ハッチをしています。しかし、特に暖かくなる春から初夏にかけてが最も多くなる季節です。その時期はドライフライフィッシングのハイシーズンと言って良いでしょう。

水生昆虫には水面で羽化するものや、水中で羽化し水面を目指すもの、岸辺の岩などに這い上がってから羽化するものなどがいます。羽化の最中はとても無防備なため、この前後が最も捕食されやすいタイミングです。この羽化中の状態を「イマージャー」と呼びます。
さらに、交尾や産卵を終え、力尽きて水面に落下したものを「スペント」と呼び、こちらもまた魚の捕食対象となります。そういったことから、生まれてから死ぬまで常にトラウトと関わりが深いことが分かります。つまり、トラウトを含めその他の魚類にとっては、年間を通して非常に馴染み深い捕食対象ということです。

フライフィッシングにおけるニンフとは

ブラックボディのビーズヘッドニンフ

この幼虫を模したものがフライフィッシングにおけるニンフです。ニンフでの釣りは、「ニンフフィッシング」や「ニンフィング」などと呼ばれています。形を模倣するのみならず、その生態に即して水面下に沈めて使用するところにその大きな特徴があり、独自の釣法や仕掛けを発達させてきました。

フライフィッシングの4つの種類

フライフィッシングには大まかに分けて4種類の釣り方があります。水面をナチュラルドリフト(アクションなどを加えず自然に流すこと)させる「ドライフライ」、水面直下を流す「ウェットフライ」、中層からボトムにかけてを探る「ニンフ」、ルアーのようにアクションで釣る「ストリーマー」です。もちろん、水面のドライフライをリトリーブしてみたり、ウェットフライを中層以下に沈めたりすることもあるので、非常に大雑把な区別であることをご理解ください。

フライフィッシングの主流はドライフライ?

フライというと、主に水面に浮かべるドライフライを挙げる方が多い傾向にあります。たとえば、「メイフライ(カゲロウ)」や「カディス(トビケラ)」、「ストーンフライ(カワゲラ)」などの水生昆虫の成虫や、「アント(アリ)」、「ビートル(甲虫類)」といった陸生昆虫を模したパターンです。実際に魚がフライを食う瞬間を見ることができるので、数あるフライフィッシングの釣り方の中でも最も面白いものと言えます。ドライフライ愛好家は非常に多く、中にはドライフライ以外は使わないという「ドライフライピュアリスト(ドライフライ至上主義者)」の方々もいらっしゃるほどです。

ニンフの仕掛けが選ばれる理由

それにもかかわらず、どうしてニンフを用いた釣りが発展したのか。なんと言っても、特に早春や低水温期に抜群に釣れるからです。上記のように中層からボトムまで水中を広範囲に渡って探れることが大きなメリットで、この特性が早春のトラウトにぴったり適合するのです。

確かに、ドライフライはフライフィッシングの魅力や楽しさの中核を成しています。しかし、水面ばかりでなく川全体を広く見渡すことで新たな発見にも繋がります。なぜニンフを用いたフライフィッシングが早春に威力を発揮するのか。具体的にその特性をどう活かして仕掛けを組んで釣っていくのか。詳しく見ていきましょう。

早春、低水温期のトラウトと食性

ランディングネットの中のイワナ

潜行する早春のトラウトにアプローチするニンフ

ヤマメやイワナなどのトラウトは、早春や低水温期には深いタナに潜っています。比較的冷たい水を好むトラウトでも、あまりに低すぎる水温では活性が下がるためです。池やプールにできる氷を想像してみてください。表面や周囲から中央へ、深場へと順に凍っていきます。要するに、水深がある場所ほど水温が安定しているのです。そういったトラウトたちが食べているのがニンフです。

早春トラウトの活性を意識しニンフを選択

季節によりますが、魚はその時食べられる物を食べます。当たり前のことだと思われるかもしれませんが、これは非常に大事なことです。つまり、アングラーがいくらドライフライで釣ろうとねばっても、魚にその気がなければ食ってもらえないのです。

もちろん低水温期にも水面を流下する餌はあります。ユスリカは通年、クロカワゲラは1月頃からハッチが始まります。したがって、ドライフライが全く使えないというわけではありません。しかし、深い棚に潜って水面に出たがらないトラウトが相手では、かなり渋い釣りになるでしょう。

早春と言えども、暖かい日中に水温が上がるとトラウト達はライズをすることがもちろんあります。そんな幸運な時は、ドライフライに切り替えて臨機応変に水面を試してみてください。そういった際には、水中のニンフには見向きもしない場合もあるからです。

ニンフの仕掛け

ニンフフィッシングには様々な仕掛けがあります。代表的な釣り方は、浮力のあるインジケーターを使用し、半ばウキ釣りのような仕掛けの「ルースニング」や、餌釣りで言うミャク釣りに似た仕掛けの「アウトリガー」と呼ばれるものなどです。それらから派生した仕掛けは沢山ありますが、今回は日本の渓流でも無理なく使えるルースニングと、ニンフフィッシングの基本であるアウトリガーをご紹介します。

インジケーターを用いるニンフのルースニング

ルースニングとは、里見栄正氏が考案したニンフフィッシングの仕掛けです。16ftほどのリーダーシステムに浮力のあるインジケーターを付け、ドライフライのようにナチュラルドリフトさせます。キャスティングの感覚もドライフライフィッシングに近く、日本のフライアングラーに人気のスタイルです。

インジケーターをドライフライに見立てて流すことができるので、初めてのニンフフィッシングでも違和感なく釣ることができます。さらに、インジケーターを任意の位置に取り付けられるため、タナが取りやすいシステムです。そういったことから、日本の渓流に非常にマッチした釣り方と言えるでしょう。

逆に、流れの強いポイントではルースニングで狙うことが難しい場面も多くあります。水面と水中では流速が異なっているため、速い流れに乗ったインジケーターが水中のニンフフライを引っ張ってしまうのです。一見ナチュラルドリフトしているように見えても、水中のニンフフライは不自然な動きをすることになってしまいます。そうなると、トラウトに警戒感を持たせると同時に、目的のタナをキープすることも厳しくなります。

ルースニングの仕掛けとニンフ選択

ラインシステム、リーダーシステムともに、ドライフライフィッシングのタックルをそのまま流用できます。インジケーターでアタリを取るので、フォーム材やシールタイプの良く浮き良く見える物を使用してください。ニンフフライは、「フェザントテイルニンフ」や「ヘアズイヤーニンフ」などで、ウェイト違いのパターンをいくつか用意します。加えて、ビーズヘッドタイプやリブにティンセルを巻いた物を交えれば、トラウトの目先を変えることができ効果的です。フックサイズは12番から16番を中心に使用します。

ルースニングでの釣り方

ルースニングではインジケーターを先行して流します。つまり、水中のニンフフライが上流側、インジケーターが下流側に来るようキャストしてください。通常、魚は上流を向いて泳いでいますので、インジケーターが下流側にあれば、フライを食った際明確にアタリが取れるからです。ラインはインジケーターの下流側にスラック(たるみ)を入れながら落とします。これは、常にインジケーターが先行して流れるようにするためです。

深すぎない落ち込みや、流心の脇の緩やかな流れをナチュラルドリフトさせます。アタリの出方は、インジケーターがフワッと水中に吸い込まれたり、ピタッと止まったり、といった分かりやすいものから軽く揺れる程度のものまで様々です。怪しいと思ったら聞き合わせしてみても良いでしょう。

シンプルなニンフの仕掛けアウトリガー

アウトリガーはミャク釣りのチョウチン釣りに良く似たスタイルの仕掛けになります。こちらはロッドの真下の流れを釣ることに向いており、感覚としてはまさに餌釣りのようです。ルースニングがフライアングラーに広く認知され評価されるまでは、ニンフフィッシングといえばアウトリガーを指すものでした。フライフィッシングを楽しむと言うより、魚を釣る事に特化した実利本位的なスタイルで、この釣り方を避ける方も多くいらっしゃいます。ですが、非常によく釣れる事は間違いありません。

ロッドが届く範囲でニンフフライを放り込めばいいので、キャスティング技術が必要な場面はほとんどないでしょう。さらに、ロッドから出すラインの長さ調節だけで、自由にタナを取れるため煩雑さがありません。それゆえに、フライフィッシングの仕掛けの中で最もシンプルな釣り方と言えます。
アウトリガースタイルはウェイトの調整により、速い流れや大淵のボトムなども安定して探ることができます。ですが、ルースニングのように遠くのポイントを狙うことができません。どうしてもロッドの長さに依存してしまうからです。

アウトリガーの仕掛け

リーダーシステムは12ft程度で問題なく、ラインもほとんど出すことはないためどういったものでも構いません。リーダーや竿先でアタリを取るので、必要なものが少なく全体的にシンプルな仕掛けです。インジケーターを取り付ける場合は、蛍光リリアンや毛糸など浮力のあまりないものが良いでしょう。

アウトリガーでのニンフ選択

アウトリガーにおいても、フェザントテイルニンフやヘアズイヤーニンフが万能ですが、ウェイトを重めに巻いたものを用います。ビーズヘッドタイプであれば、より重さのあるタングステン製が使いやすいです。重さが足りないと感じた際は、フライから20〜30cmほどのところに粘土オモリやガン玉を付けて調整しましょう。

ウェイトのあるニンフのフックに30cmほどティペットを結び、軽めのニンフをさらに繋ぐトレーラースタイルもかなりの効果を発揮します。水中では先頭のウェイテッドニンフに続き、後ろの軽いニンフがユラユラと流れていきます。同時に違うタイプのニンフフライをトラウトに見せることができる上、単純にアピールも2倍になります。アウトリガーでのフックサイズも12番から16番で問題ありません。

アウトリガーでの釣り方

アウトリガーに適したニンフのポイント

岸直下の深みや、ルースニングではニンフを送り込みづらいアンダーカットバンク(流れによってできたエグレの底)をまず攻めます。そういったポイントには大物が付いていることが多く、一気にボトムへアプローチできるアウトリガーでは積極的に狙っていきたい場所です。他に、落ち込みや流心の脇など、とにかく水深があるポイントは全てアウトリガーの守備範囲となります。ですが、ある程度ポイントに近づかなければならないので、トラウトに走られないよういつも以上にしっかりストーキング(岩や木の影に隠れ魚に気づかれないようにすること)をする必要があります。
流れが速いエリアも、深さがあればボトムは緩やかな場合が多いので、アウトリガーで狙うことができます。この場合、表層の流れに負けない程度のウェイトが必要です。

アウトリガーでのアタリの取り方

アウトリガーではリーダーや竿先の変化でアタリを取るため、ロッドティップから水面までのラインは基本的に張りすぎず緩めすぎずの状態をキープします。そのため、インジケーターを取り付けていなくてもアタリが分かりやすいです。目印になるものがあると、どうしてもそこばかりに注意が行ってしまい、リーダーや竿先、手元の感触などへの意識が薄れてしまいます。とはいうものの、インジケーターがあることで実際にどれくらいの水深があるか、などを測りやすいのも事実です。

ニンフフィッシングで新春シーズンをスタート

雪が多く残る渓流

釣行やフライフィッシング自体、釣れなかったとしてもただそれだけでも楽しいアウトドアレジャーです。しかし、できれば釣りたい、釣れた方がもっと楽しい、と思ってしまうものです。解禁直後の渓流ならなおさらですよね。

河川の周辺を観察してみると様々な植生があることに気付きます。例えば岸辺の葦や、岩の苔、水面にオーバーハングしている木の枝などです。様々な生き物がそれらを住み処にし、さらにその生き物を魚が餌として捕食しています。河川や地域によりますが、春から初夏にかけてトラウトは主に羽化後の水生昆虫の捕食割合が高くなります。その後、盛夏から秋には陸生昆虫の割合が50%にもなるそうです。ですので、季節や周辺状況に合わせてのフライセレクト、釣り方自体の工夫というのは非常に重要になります。そういったことから、早春、低水温期のニンフフィッシングが効果的なのは自然なことであり、理にかなった釣りであると分かります。

解禁直後の早春は、しばらくアングラーが入っていないということもあり、トラウトもスレておらず素直にニンフに反応してくれます。フライボックスにニンフを詰め込んで渓流に足を向けてみてはいかがでしょうか。


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