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2019年11月12日更新 7000

プラモデルの楽しみが200%上がる!ウェザリング(汚し塗装)の魅力:タミヤ1/12「ホンダモンキー125」編

せっかくキレイに作ったキットをわざわざ汚してどうするの?とお思いの方もいるかと思いますが、ウェザリングと呼ばれるテクニックで泥や雨スジなどの表現を適度に加える事により、キットの情報量が増えてリアルさがグンとアップします。今回は、タミヤ1/12ホンダモンキー125にウェザリングを施してディテールアップを図ってみましたので、そのプロセスと代表的なウェザリングテクニックについてご紹介致します。

OutSeekers編集部

OutSeekers編集部

プラモデルに「ストーリー」という命を吹き込む「ウェザリング」

ブルーモンキー125ウェザリング1

ウェザリング(汚し塗装)とは何なのか?という問いかけにザックリお答えすれば、「プラモデルに自然環境の要素を施す」といえると思います。自然や天候を意味する「weather」を表現するので「weathering:ウェザリング」という訳です。このウェザリングの一番の魅力はなんといってもプラモデルにストーリーが生まれる、という一言ではないでしょうか。綺麗な完成品ももちろん良いですが、上記写真のように泥だらけになったマシンを見ると「どんな荒地を走っていたのか」や、「乗っている人はどんな人なんだろうか」と見ている人の想像を膨らませていきます。

プラモデルを始めたばかりの頃は説明書に書いた通りに作るのも一苦労かと思います。一度組み上げたらそこで終えてしまう方も多いと思いますが、このウェザリングこそプラモデルの醍醐味の一つだと思います。むしろウェザリングをすることで「自分だけの一台」が完成します。

本記事では、タミヤ模型から販売されている1/12ホンダモンキーに簡単なウェザリングを施してみました。「リアルさの再現」という事では、例えばバイクにサビが浮いていたりすると「これで走行は危ないでしょう」となりますので、サビや傷などのダメージの表現よりは走行により付いた土や雨筋などの表現の方が自然ですので、2台の1/12ホンダモンキーを用いて「車体に付いた泥、砂」と「降りしきる雨で付いた雨跡」をそれぞれのキットに施してみました。

モンキー125ウェザリング1

ペーストアイテムを使った簡単なウェザリングをやってみよう!

「悪路を走破したモンキー125」の泥表現を簡単ウェザリング

イエローモンキー125ウェザリング1

初めてウェザリングを試そうとする際に、何をどうすればいいの?と当然思われることでしょう。筆者のオススメは、「細かいことは気にしないでウェザリング専用のペーストアイテムを思い切り使う!」というものです。現在、ウェザリング処理用の塗料やペーストアイテムなどがタミヤさんをはじめとした各メーカーさんから販売されていますので、こうしたペーストアイテムを基本塗装を終えたキットに「塗り付ける」だけで、もう十分なウェザリング効果を表せるのです。ここでは簡単に「泥表現」をできるアイテムを2つ紹介いたします。

簡単泥表現おすすめウェザリング「ペーストアイテム」その1

タミヤさんから出ている「タミヤ ウェザリングスティック」シリーズの「マッド」をキットのタイヤにグリグリと塗り付ければ、ぬかるみで汚れたタイヤを表現できちゃいます!

簡単泥表現おすすめウェザリング「ペーストアイテム」その2

GSIクレオスさんから出ている「Mr.ウェザリングペースト」シリーズの「マッドブラウン」を筆に取り、やっぱりグリグリ塗り付ければ同様の効果が得られます。こうした各種のウェザリング用マテリアルは下準備の必要がなくそのまま使えて、しかも効果もバッチリ!ですので、初めてウェザリングを試そうという方には非常にオススメできるアイテムです。ちょっと塗りすぎた(盛りすぎた)場合には、専用のシンナーがありますので安心して使用できるのも大きなメリットです。

上記ご紹介したアイテムはペースト状で粘土のような形状になっているので、泥がついた表現などかなりリアルに再現できます。このように「泥」アイテムだけでもウェザリングを楽しむことができます。汚し塗装において「これが正解」という説明書はなく、表現の自由は自分次第です。目の前のモデルに自分だけのストーリーを描いて汚す過程はより「創る喜び」を刺激してくれることでしょう。

それではこうしたウェザリングアイテムを使って、キットにウェザリングを施してみましょう。ジオラマ設定と共にいくつか組み合わせ事例でウェザリングの魅力を紹介していきます。「車体に付いた泥、砂」と「降りしきる雨で付いた雨跡」の2つの表現をしてみました。

ウェザリングショーケース①:アメリカ南部のオフロードを走行した「旅の相棒」

泥と砂で汚れたウェザリングを施すことで「旅の相棒感」が増したモンキー125

イエローモンキージオラマ1

ウェザリングレシピ3アイテム

ウェザリングケース1マテリアル

いずれも、そのまま塗るだけで泥や砂の表現ができるスグレモノです!早速、試してみましょう!

1.ウォッシング:Mr .ウェザリングカラーでボディ全体を塗る。

基本塗装を終えた状態のモンキーです。

イエローモンキー125ウェザリング前

こちらにウェザリングカラーを塗布すると、、、

イエローモンキー125ウェザリング後1

これだけでもかなり汚れがついたイメージに仕上がります。

2.ペースト処理:タミヤウェザリングスティックをグリグリ塗って完成!

イエローモンキー125ウェザリング後2

タイヤ周りを中心にウェザリングスティックを塗りたくりました。

イエローモンキー125ウェザリング後3

Mr.ウェザリングカラー専用シンナーで少し塗料を落として、汚れ具合を調整しました。

ウェザリングショーケース②:降りしきる雨の中、ようやく見つけたバーの店先で

大洪水の様相ですが…ネコが心配です。

ブルーモンキージオラマ1

ウェザリングレシピ2アイテム

ウェザリングケース2マテリアル

ウェザリングに使用した2アイテムです。

1.ストレーキング

シンナーで薄めたフラットアースを全体に塗り、少し乾かしてからシンナーを含ませた筆で重力に従い垂直方向に塗料を適当に落とす。いままでは「ウェザリング専用」のアイテムを使用してきましたが、このように通常の塗料を薄めることでウェザリングの効果を出すこともできます。では完成したモンキー125がどのように変化していくのか見ていきましょう。

まず説明書通りに作ったモンキー125がこちら。基本塗装を終えた新色「パールグリッターリングブルー」のモンキーです。

ブルーモンキー125ウェザリング前1

ブルーモンキー125ウェザリング前2

フラットアース塗布後。思いのままに塗りましょう!綺麗に塗装した上に汚しを加えるのは心理的抵抗があるかもしれませんが、そこを乗り越えてこそ「ウェザリング」の楽しさが待っています!

ブルーモンキー125ウェザリング後1

ブルーモンキー125ウェザリング後2

だいぶ「砂埃かぶった感」出てきました。少し乾燥させてから、塗料を落としていきます。

ブルーモンキー125ウェザリング後3

エナメルシンナーで塗料を適当に落とした状態。主にタンクとシートの塗料を落としました。

2.ペースト処理

Mr .ウェザリングペースト ウェットクリアーをボディ全体に塗る。

ブルーモンキー125ウェザリング後4

写真では伝わりにくいのですが…ウェットクリアーの光沢に包まれております。

「想像力」と「観察力」でウェザリングを楽しもう

ブルーモンキージオラマ2

上記作例では簡単な状況設定をして、それに応じたウェザリングをキットに施してみました。ウェザリングを施す際には、何故その汚れがついているのかの理由づけを簡単にしておくと、色の選定やテクニックも自ずと絞られて作業も捗ると思います。

ここで、理由づけは多少現実離れしていても大丈夫です。ウェザリングは自然の影響をキットに与える表現方法とお話ししましたが、多少無理があってもこんな汚れを表現したい!というのでも全然アリだと思います。

そもそもプラモデルの醍醐味というのは「想像力」を具現化することだと思います。「正解」にこだわるあまりに手が止まるくらいであれば、多少の難点は気にせずに、自分が思う理想の形を具現化していった方が楽しみ方としては正しいことだと思います。もちろん「想像力」では補えない部分も出てくるとは思います。そんな時はネットや雑誌で実際の汚れたバイクや車がどのように汚れているのかということをよく「観察」することでさらに想像力に対する「裏付けのあるウェザリング」もできるようになります。

組み合わせで無限大に広がる!ウェザリングの基本的な流れとテクニックのご紹介

上記の作例では主にペーストアイテムを中心にウェザリングを紹介してきましたが、これらに加えて主に筆塗りで表現するいくつかのウェザリングテクニックを身につけておけば、模型表現の幅がより広がります。例えば「バイクボディに当たった小石のダメージをチッピングで表現したい」とか「何年も野ざらしになっている車の色あせた様子をフィルタリングとピグメントで表現したい」というように、表現したいイメージを偶然に頼らず自分のテクニックで実現できるようになります。
RPGに喩えると、各種のウェザリングマテリアルがラスボス(表現したいイメージ)を倒すのに直接的な効果のある強力な武器であるとすれば、ドライブラシなどのウェザリングテクニックは呪文や特殊能力といったキャラクター自身のスキルであるといえるでしょう。自分のスキルにしてしまえば無くなる事もなく、色々と応用も効きますので、プラモデル作りが更に楽しくなることでしょう。ウェザリングスキルを手に入れて自分の作ったプラモデルに自分だけのストーリーを作り込んでいきましょう!

ウェザリングの基本的な流れ

ウェザリングを施す際は、試したいマテリアルやテクニックを自由に使っていけばいいと思うのですが、一方でウェザリングはあくまで「塗装」ですので、塗料の性質や効果の反映具合などを考慮した大まかな流れというのも少なからずあると思われます。ここでは、あくまで筆者の見解ですがこうした諸条件を踏まえた上でのウェザリングの基本的な流れをご紹介したいと思います。

塗装処理の基本的な流れとして

  • 面から線の順番で塗る
  • 暗い色から明るい色の順番で塗る

の2点が挙げられると思います。この順番を考慮したウェザリングの基本フローのご提案は下記のとおりとなります。

  1. ウォッシング(大きな面の塗装)
  2. チッピング(小さな面の塗装)
  3. ストレーキング(線の塗装)
  4. スミ入れ(暗い色の塗装)
  5. ドライブラシ(明るい色の塗装)
  6. ペースト処理

※塗料は、エナメル塗料を使用。

先にご紹介しましたモンキー125のウェザリングのケース①は「ウォッシング→ペースト処理」、ケース②は「ストレーキング→ペースト処理」と、この順番に沿って行いました。ただしこれはあくまで1例であり、スミ入れの後にウォッシングをした方が全体の統一感が出たりしますので、ガイドライン程度に思って頂き、実際に試行錯誤しながらご自分なりの塗装フローを生み出して頂ければ幸いです。

代表的なウェザリングテクニック

ここでは、上記でご紹介した各種のウェザリングテクニックについて、簡単にお伝え致します。ここからの事例はタミヤさんから新発売になった「1/12スケール:ストリートライダー」を例に挙げて紹介していきます。1/12モンキー125とも同じサイズなので一緒に並べることでよりリアル感が増すおすすめアイテムです!

タミヤ1/12ストリートライダー塗装済み

ウォッシング(効果:素材の経年変化の表現)

ウォッシングは、シンナーで薄めた塗料をパーツ全体に塗る事で、パーツの色調を変化させる事を目的としたテクニックです。かなり薄めた塗料を薄く面全体に塗った後、軽く塗料を拭き取っていきます。

この後ご紹介するスミ入れもシンナーで薄めた塗料を使っていきますが、違う点は、スミ入れは凹部に間隔を置いて塗料を差し入れるのに対して、ウォッシングは塗料を面全体に塗る事です。シンナーで薄めた塗料をパーツ全体に塗り、シンナーで適度に拭き取るという作業で、パーツを洗い流すニュアンスからウォッシング(washing)と呼ばれています。ウォッシングをする事で、パーツの微妙な経年変化の様子を表すことができます。

1/12ストリートライダーウォッシング

革ジャンの基本色X-18セミグロスブラックにXF-20ミディアムグレイを少量加え、エナメルシンナーでかなり薄めたものを、革ジャン全体を洗い流すような感じで塗りました。

チッピング(効果:素材に付いた傷の表現)

チッピングは、模型に傷の表現を加えるテクニックです。

実物のバイクや車は、様々な外的要因によってボディに傷が付いてしまう事があります。チッピングは、そうした傷の表現を受け持つテクニックになります。とはいえ、あまり大きな傷をつけてしまうと、こんな傷が付いてたら走れないだろうとなりリアルさが薄れてしまいますので、バイクやカーモデルに付ける傷は細かい位でちょうど良いと思います。

チッピング

チッピングのコツは

  • 大小の傷をランダムにつける
  • 傷の分布を若干偏らせる
  • 傷の端を尖らせる

などが挙げられます(画像には、尖っていない傷がありますが…)。

ストレーキング(効果:雨筋の表現)

ストレーキングは、ボディに付いた砂などの汚れが雨によって筋状に垂れていく様子を表現するテクニックです。

先のウェザリングケース②でご紹介しましたように、最初にエナメル塗料で砂色を一様に塗っておき、少し時間をおいてからシンナーを少量筆に含ませて、砂色を適度に落としていきます。雨の筋跡に見せるためのポイントは、重力に従って落ちる雨を表現しますので上から下にまっすぐ筆を降ろしていく事です。また等間隔で塗料を落とすのではなくランダムな間隔で、雨跡の幅も変化をつけていくとよりリアルになっていくと思います。

スミ入れ(効果:暗部の表現)

スミ入れは、シンナーで薄めたブラックなどの暗い色をキットの凹部に差し入れる事で、暗部を強調させるテクニックです。

ポイントとしては、凹部に筆を入れる際に「塗る」のではなくチョンと「差す」事です。元々伸びの良いエナメル系塗料がシンナーで薄められているので、少し差せば毛細管現象で自然にモールドに広がっていきます。逆にモールドに筆を差し入れた時に塗料が流れなければ濃度が濃いという事ですので、シンナーで薄めつつ濃度を調整していきます。間隔を置きながらチョンチョンと筆を差していけばオーケーです。また、凹部からはみ出た塗料は少し時間を置いてから、シンナーを含ませた綿棒で取り除いてやりましょう。

1/12ストリートライダースミ入れ前

ジーンズの基本色XF-8フラットブルーを塗った状態です。シワの凹んだ所にスミ入れをしていきます。

1/12ストリートライダースミ入れ後

基本色にX-1ブラックを少量加え、ウォッシングと同様エナメルシンナーで薄めてからジーンズの凹部に筆を差し入れていきました。シンナーで十分に薄められていれば、筆をチョンと挿せば自然に凹部に広がっていきます。

ドライブラシ(明部、ハイライトの表現)

ドライブラシは「乾いた筆」という名のとおり、塗料を殆ど落とした筆をパーツの凸部にこすりつける事で明部を強調させるテクニックです。

スミ入れが暗部を強調させるのに対しドライブラシは明部を強調させますので、両方を併用すればキットの立体感は格段に豊かになります。初めてウェザリングをしてみる場合は、このスミ入れとドライブラシを施すだけでも十分なウェザリング効果をキットに与えられます。ドライブラシは塗料を殆ど落としてから施しますので、1回で効果が表れることはあまりなく、2〜3回繰り返しの作業となります。時間はかかりますが、明部が強調されてくるとキットのリアルさが増していくのがハッキリ分かりますので、是非取り入れたいテクニックであります。

タミヤウェザリングマスターBセット

ドライブラシ裏ワザ?のご紹介!
タミヤさんから発売されているウェザリングマスター《Bセット》で、ドライブラシ効果を簡単に出す事ができます。

1/12ストリートライダードライブラシ1

1/12ストリートライダードライブラシ2

ジーンズのシワの盛り上がった所に《Bセット》のスノーを擦るように塗りました。シワの大きな部分と細かい部分とで塗り付けの強弱をするとリアルな表現になると思います。

上記の例ではウェザリングマスターに付属の筆を使いましたが、古くなった筆を使ってドライブラシ用の筆を自作する方法をご紹介します。簡単ですので是非お試しください。

  1. 筆先をカッターで切る
  2. カッターで切った筆先をライターなどで軽く炙る

ドライブラシ用筆

毛先を短く硬くする事で、キットに筆をこすりつける事ができます。使わなくなった古い筆も再利用できますので、一石二鳥という訳です!

まだまだあるウェザリングテクニック!

上記の他にも、顔料を使って泥やホコリを表現するピグメントや、チッピングの応用としてのサビやオイル漏れの表現など、多くのウェザリングテクニックがあります。それぞれのテクニックを組み合わせたり、表現の強弱をつけるなどする事で、キットが持つ情報量が多くなりますので、より自然環境に溶け込んだリアルで見応えのある仕上がりになっていきます!

また、ウェザリングの概念やテクニックについては、下記の書籍を参考にしました。多くの写真で詳細な解説がされており、ビギナーの方にも分かりやすい内容となっております。良かったら、ご覧になってください。

プラモデルにおける「完成」とは

イエローモンキージオラマ2

ところでプラモデル製作においての「完成」とは何を以て「完成」なのでしょうか。答えはきっと無数にあると思います。マニュアルに沿ってしっかりと組み立てる事、細部まで塗装を施す事、ボックスアートに描かれている状態を再現する事…。どれも正解だと思います。私が考えるプラモデル製作における「完成」とは、製作の際にモデラーそれぞれが設定する、ある種の「課題」を達成した状態をだと思います。自分がイメージしていたものに近くことができたらそれは成長した証であり、誰かと比べるものでもありません。

初心者の方であれば、まずはマニュアル通りに組み上げる事、熟達した方であればキットを通して自分の世界観を表現する事というように、それぞれの立ち位置に応じて設定される「課題」をクリアする事が、プラモデル製作の「完成」といえるのでしょう。

プラモデル製作の「完成」を、ひとまず上記のように各自の「課題」をクリアした状態とすると、モデラーの人数だけ「完成」がある訳ですが、多くのモデラーに共通する「完成」の定義の一つに「キットにより多くのリアルさを与える事が完成」という事があると思います。そのような意味において今回ご紹介した「ウェザリング」は「完成の質」を大幅に向上させてくると言っても過言ではないでしょう。

まずは簡単なところからアイテムを揃えて自分ができることを一つづつ増やしていくことでスキルを身につけることができると思いますのでぜひチャレンジしてみていただければと思います。

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