2019年11月19日更新 12289 14
妄想ストーリーで楽しむプラモ作り!ワイルドミニ四駆「ブルヘッドJr」編
タミヤから再販となった「ワイルドミニ四駆」シリーズを大人買い!今回は「ブルヘッドJr」を題材に「どうやったら楽しみながら作れるのか」ということをテーマに「妄想ストーリー」を軸とした「プラモデル作りの楽しさ」をご提案して参ります。

どうせ作るならプラモデルもミニ四駆も楽しく作りたい
2019年10月に再販となったタミヤ「ワイルドミニ四駆」シリーズ、最近プラモデルを作りたいと思っていた矢先にちょうどいいアイテムだと思い大人買いをしました。
最初に組み立てたランチボックスジュニアはそのデザイン自体が個人的にツボで、「カラーバリエーションを楽しむ」というコンセプトで進めてきましたが、今回のブルヘッドJrは別のアプローチで作っていこうと思います。一台作るのにもそれなりに時間はかかるので、正直取り掛かるのに腰が重くなりつつあるのも事実ですが、どうせ作るのだったら「自分が楽しく作れる方法」を試していきたいと思います。
無骨でアメリカンなデザインの「ブルヘッドJr」をどう料理していこうか
ブルヘッド Jrは説明書通りに作るとこの箱画のようなブルーのボディになります。もちろんこのまま作ってもかなりカッコよくなるとは思いますが、せっかくだったら自分なりにアレンジを加えて作っていきたいところです。ではいよいよ本題に入っていきましょう。
「妄想ストーリー」を作るとプラモ作りが100倍楽しくなる!
妄想ストーリーで作る「完成のイメージ」
作るのはプラモデル(ミニ四駆)かもしれないですが、作るものが登場する「シーン」をイメージすると色々とやりたいことが出てきてより制作が楽しめるのではないでしょうか。今回はブルヘッドJrを組み立てる上で「妄想ストーリー」を作って楽しんでみました。
参考にしたのは2019年11月に日本で開催されたビッグタイヤを履いたマシンがパフォーマンスを繰り広げる「MONSTER JAM 2109 IN JAPAN」
登場するマシンはどれもド派手で、メジャーなところで言うと「モンスターエナジー」などのスポンサーが入っているマシンもありましたが、今回はそんなゲームに果敢に挑戦する「ある男の物語」を妄想で膨らませてみました。
“モンスタージャムに全てを賭けた男の再起の物語”
(ストーリーは全て妄想です)
アメリカの片田舎に住むジェシー(仮名)45歳は、車の整備工場で生計を立てていた。かつては凄腕ドライバーとして名を轟かせたジェシーであったが、生活費のためにギャンブルレースをし、負けたことがきっかけで多額の借金を背負い一人息子と愛する妻は彼のもとを去っていった。そんなある日ふとYouTubeを眺めていた彼の目に「モンスタージャム」の動画が目に止まる。爆音を上げてサーキットを走行するその姿にかつての栄光を重ねていたジェシー。そして熱狂的なコメントはかつて彼が浴びていた称賛を彷彿とさせるのだった。多くのコメント欄をスクロールしている中、ジェシーの手が止まる。そのコメントこそ彼の息子マイケルだった。
「モンスタージャムでマイケルに誇れる自分になりたい」
そう決意したジェシーは整備工場を売り払い、祖父のガレージを20年ぶりに尋ねる。ガレージにはまだマイケルが幼いころ一緒に整備をしたトラックが眠っていた。ところどころ錆びていたもののこのトラックにはマイケルとの思い出が刻まれている。このマシンでモンスタージャムで戦えばきっとマイケルも自分だと気づいてくれる。
全てを失った男の「再起の物語」が始まる
(画像はイメージです)
実際にはジェシーもマイケルもいないんですけど、こういう妄想考えてると1時間なんてあっという間に過ぎてしまいます。「もしもそのシーンに登場するとしたらどんなマシンか」と想像するだけで塗装のモチベーションも上がるのではないでしょうか。
「妄想ストーリー」が思い浮かばなくても映画を見れば大丈夫!
上記の僕の「妄想ストーリー」は映画でも比較的よくあるタイプの話ですが、有名な映画だと以下の2つでしょうか。
リアルスティール(2011年:ヒュー・ジャックマン主演)
「リアルステイール」に登場しそうなロボットフィギュアの記事はこちらをどうぞ
オーバー・ザ・トップ(1987年:シルベスター・スタローン主演)
妄想ストーリーが思い浮かばなくとも映画を見ればヒントはありますし、実際に出てくる乗り物等を見ることで「観察力」も磨かれることでしょう。また「プラモデル作り」のヒントとして見る映画というのもまた見方が変わって面白いかもしれません。
今回お伝えしたいメインの内容は以上になりますが、以下の記事では実際に上記の「妄想ストーリー」を元にどのようなプロセスでブルヘッドJrを制作していったのかというプロセスを説明していきます。
「ブルヘッドJr」の制作プロセスと制作時間
ボディは単色で塗っているために、実は結構簡単に作れます。大まかなプロセスと時間は以下となります。
- ボディの塗装:1時間
- ディテールの塗装:2時間
- スミ入れ:30分
- ステッカー貼り:30分
- 汚し塗装:30分
- 組み立て:30分
合計約5時間くらいあれば完成すると思います。それでは詳細についてみていきましょう。
1、ボディの塗装
選んだ色はジャーマングレー(TS-91)
もともとの成形色がブルーですが、こちらにスプレーを塗ったところ、いかにも歴史を感じさせそうな渋い色味になりました。
2、ディテールの塗装
ちょっと面倒臭い部分ではありますが、ちょっとしたディテールもこだわると一気に質感があがりますので頑張っていきましょう。
フロントグリルの塗装
トラックの顔でもある部分のフロントグリルはシルバーで塗装。マスキングテープでかこってはみ出ないようにします。
次に、エナメル塗料の「ガンメタル」でグリル内部を塗装していきます。
線が細かいので、多少はみ出てしまいましたが大丈夫です。
エナメル溶剤を綿棒につけてこすることで綺麗にガンメタルがはみ出た部分を取り除けます。
こちらの塗装の仕方は「ミニ四駆GRAPHICS」に掲載されていたやり方を参考にいたしました。
車体が地味になりがちなのでこういうライトの差し色がボディにメリハリをつけてくれます。
またホイールやパイプ類のものは全て「ガンメタル」のスプレーで塗装
3,スミ入れ
ボディカラーが暗めなので、あまりわかりにくいですが、ラインにスミ入れするとよりリアル感出てきます。
4,ステッカー貼り
今回は本体の質感を生かすためにあまり多く貼りませんでした。使用したステッカーはこちら
4、汚し塗装(ウェザリング)
今回はタミヤ「ウェザリングマスターB」をチョイス
真ん中の「スス」で一気に使用感に満ちた感じがアップしました!このアイテムを一品加えるだけでかなり雰囲気が変わります。こういうアイテムに出会えた時の喜びというのもプラモデル作りの醍醐味なのかもしれません。
泥がはねたウェザリングは「タミヤウェザリングスティック」にて
あとはシャーシ部分を組み立てて完成!
果たしてジェシーはマイケルに勝利を見せることができたのか?!
この泥だらけのマシンでジェシーは果たして栄光を掴めたのか、そしてマイケルと再会することはできたのか?!
そんなストーリーを思い浮かべるだけでも塗装が楽しくなります。汚し塗装も「作業」ではなく「演出」に変わることでしょう。
実は2台目だった「ブルヘッドJr」
実は今回のコンセプトを考えて1台目はグリーンで塗っていましたが、考えたコンセプトとは違っていたので2台目でリベンジいたしました笑
右のバージョンで使用したカラーはこちら
一台目を作っていたおかげで大体の作り方や塗装のポイントはなんとなくわかっていたので、最初に作った時よりも時間短縮はできました。果たして作り直した方がコンセプトに合っているかどうかはわかりません。あくまでも妄想ストーリーの中の「仮説」に基づいているのでこの完成度を図るのは自分のみとなります。
もしかしたらランチボックスで使った「ネイビーブルー」の方がイメージに合っていたのかもしれません。
はたまたもっと「赤錆びた感」を出したボディの方が似合っていたのかもしれません。正直作ったものが「正解」かどうかはわかりません。なぜなら全ては「妄想ストーリー」がベースになっているので。
寄り道を楽しむための「妄想ストーリー」
プラモデルを作るのにもしかしたら「妄想ストーリー」まではいらないのかもしれない。むしろせっかく楽しみに買った製品がとんでもない完成になってしまうこともあるかもしれない。実際、僕自身も一台目のブルヘッドジュニアは思っていたものと違っていたために2台目に挑戦してしまったので、むしろ「妄想ストーリー」なんていうものはない方が早く作れるのかもしれません。そしてコスト的にも時間的にも大幅な遠回りをしてしまったかもしれないですが、振り返るとその過程こそが一番楽しい時間でした。実際に自分の手を動かしたり、イメージしている「塗料」を調べたり、実際に購入して試したりすることによって明らかに「プラモデル経験値」が着実に上がっているのを実感できました。ネットに書いてあることをそのまま再現するのであれば、それ以上を超えることはできないですが、そこから「ほんのちょっとだけ」でいいから自分で想像してみたことを組み合わせてみることで必ず新しい発見に出会えると思います。
検索すればすぐに答えが手に入る現代において、この「妄想ストーリー」から組み立てるプラモデル作りはもしかすると時代に逆行するアプローチかもしれないですが、この煩わしい「プロセスを楽しむ余白」というのもまた現代に必要なのではないでしょうか。
目の前にあるキットに「妄想ストーリー」という命を吹き込んでみてはいかがでしょうか。